必見!ワインの選び方の黄金ルール
さあ今日は家でワインを飲むぞ!という日がたまにありますよね。
そういうときは、前もってネットショップで買っておいたり、もしくは家の近所のワインショップやスーパーに買いに行ったりしているかと思いますが、あなたにはこれという選び方がありますか?
タイトルに初心者必見などと書いてありますが、初心者でなくてもワイン選びは難しいものです。
ですから今回は、ワインの選び方について一緒に見ていきたいなと思います。
ただし、あまり手を広げてしまうと難しくなってしまうので、今回は馴染みのない種類のワインは省きましょう。
普段目にすることの多いものだけに絞って考えます。
さらに「ワインはどうやって作られるの?」とか「ワインの色の違いはどこからくるの?」とか、そういうことにも触れません。
今目の前に並んでいる多くのワインから今日の1本を決めることに集中してお話をしてまいります。
初心者にも簡単!料理に合わせた選び方
いざワインを飲もうと思ってもワインだけを飲むということはほとんどないですよね。
普通は食事をしながらということになるはずです。
そうであれば、ワイン選びをする前に食べる料理が先に決まっていることも多いはず。
その時は、料理に合わせるのが一般的な選び方となります。
でも、この料理にはこのワインとか、この食材にはこれが合うとかいちいち覚えるのは面倒ですよね。
ですから、今回はざっくりとこんな感じで考えればいいという簡単なものをご紹介します。
魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインって本当?
いまやワインを飲まない人でも知っているセオリーですね。
でも、これって正解なのでしょうか……?
ほとんど正解、というのが答えです。
やはり、白身魚のカルパッチョなどは酸味のキリッとした爽やかな白ワインと合わせると料理もワインもどちらもおいしく味わえます。
もしこの料理に重厚な赤ワインを合わせたらどうでしょう。
料理の繊細な風味をワインが一気に消し去り、せっかくの味が台無しです。
さらに、ワインと魚がけんかをして口の中に生臭さが広がります。
特に、青魚と赤ワインの組み合わせはトラウマとなりそうなレベルの不快感で、心を折られてしまうほどです(笑)
しかし、魚と赤、肉と白の組み合わせでおいしく感じることもあります。
例えば、魚のトマト煮などは軽めの赤ワインがすごく合いますし、肉の中でも鶏肉などは白ワインのほうがむしろ合うくらいです。
料理に合うワインの簡単な選び方
ここまでお読みになって、あなたならもうお気づきかと思います。
料理の色とワインの色を合わせればいいんじゃないの?って。
そうなんです。
もちろん例外はあるのですが、基本的には見た目でマッチングすれば大きく外してしまうことはないんです。
白っぽい見た目の料理には白ワイン、赤っぽい見た目の料理には赤ワインということでだいたい解決します。
あとは、料理の質感といいますか、濃さといいますか、重さといいますか、旨みや油分の多さに合わせてワインを選べば大丈夫です。
鶏肉のクリーム煮を例に考えますと、白い色をした料理なので白ワインがいいのだけれどトロリとしてクリームの乳脂肪もあるので、しっかりした白ワインにするという具合です。
迷ったときはこのワイン
料理の色に合わせてワインを選べばいいとはいっても、実際のところ1本のワインでいろいろな料理と合わせたいということもありますよね。
そういう場合はどうしたらいいのでしょうか?
もし、用意された料理がすべて白っぽいのであれば白ワインを選べばいいですし、赤っぽい料理ばかりというのであれば赤ワインがあれば十分だと思います。
でも、そのようなことはあまりないですよね。
いろいろな料理を楽しみたいと思うと、白っぽい料理から赤っぽい料理まで幅が出るのが普通です。
そうなると、選択肢の一つとして上がるのがロゼワインです。
白から赤までの中間といえばピンク、そうロゼということになります。
実際のところとしては、白っぽい色のさっぱりした料理にはややワインが勝っているかなと感じ、赤っぽい色のしっかりした料理にはワインのもの足りなさを感じることになるかと思います。
ただ、全然ダメというのを少なくできるという点ではロゼワインを選ぶのはいいと思います。
もう一つの選択肢はスパークリングワインです。
一般的な白いスパークリングワインでも、発泡性のない白ワインと比べると合わせられる料理の幅はグンと広がります。
これは、炭酸により口の中をさっぱりさせる働きがあるからです。
ですから、濃厚なソースの肉料理に合わせるにはやはりパンチに欠けるかと思いますが、食中を1本で通すならスパークリングワインでもいいでしょう。
ワインの味の要、品種で選ぶ
ワインの味について語るとき、品種という言葉が必ず出てきます。
でも、品種によってそんなに味が変わるのか、ではどんな品種を選べばいいのか、ワイン初心者を自認する人にはとても気になるところです。
それをこれから見ていきたいと思います。
品種でそんなに違うのか?
結論から言えば、変わります。
ワインの原料はブドウ100%なので、ブドウの個性が味に影響するのは当然かと思います。
ただ、何も知らされないで飲んだワインの品種をピタリと当てるというのは結構難しいことであるのもまた事実です。
ソムリエの世界一を決めるコンクールで行なわれるティスティング時であっても、必ずしも全員がすべての品種を当てられるわけではありません。
これはご自身でも、なんとなく食べたものを「悪くない味だな」程度に思っていたら、後からすごく高級なものだと知らされたとたん「どおりでおいしいはずだ!」なんて過去の記憶を修正したことはないですか?
このように、人は「ココを見て」と前もって言われないと、そこにはなかなか気づけないのです。
逆に一度「この品種のこういうところが好き」というものができると、他の品種のものを飲んだ時に「いつもの香りがないから○○ではないな」ということには気づけるようになります。
これは、一回や二回ではなれないものだと思います。
同じ品種を何度も飲んでいるうちに、体に染みついていくようなものです。
ですから、ゆっくり時間をかけて覚えていけばいいのではないでしょうか。
初心者こそ品種を覚えましょう
今のお話から、あなたは品種で選ぶのは難しそうだなと思われたのではないでしょうか。
たしかに、はじめのうちは品種によってどう味が違うのかというのは気づきにくいかもしれません。
前飲んだワインと今飲んでいるワイン、味は違うのだがこれが品種の違いのせいかどうかわからないと思ったこともあるでしょうし、前と同じ品種のものを買ったのに全然違う味がするなと思ったこともあるでしょう。
ただ、先ほどもお伝えしたようにワインというのはブドウだけから作られるお酒で、ブドウの個性ははっきりと感じられます。
完璧にとはいかなくても、なんとなくわかるというのはわかるようになります。
ある時ふと「これが品種の味か」という日が来ると思いますので、その日を待って品種と向き合っていってください。
といっても、実際はそんなに難しいことではありません。
早ければ数回目で気づけるようになります。
そうなれば、そこから先はあっという間です。
何よりも現在では、多くのワイン生産者が品種による味の違いで商品のレパートリー展開をしています。
品種によってワインを選ぶというのが一般的になっている証拠です。
かつてはヨーロッパのワインの多くに品種名が書かれていませんでした。
今でも品種名を書いていないものはありますが、徐々に変わっていき、品種名が書かれることも一般的となりました。
それだけ、ワインは品種で選ぶものという風潮になってきたのです。
ぜひ、そういったことから品種の違いを覚えていただき、料理の色に合わせてワインの色を決めた後は品種でさらに絞り込んでいっていただきたいです。
それでは、これから代表的な品種をご紹介します。
現在、ワイン用のブドウ品種は全部で1000種を超えると言われています。
当然、そのすべてを覚えることはできませんし、その一部といってもかなりの数になってしまいます。
そこで、今回は10種類に絞りました。
すべてがこれから何度も見聞きすることになる名前だと思います。
まずは、この10種類を覚えてから幅を広げていくとよいのではないでしょうか。
なお、品種名をカタカナ表記だけで覚えてしまうと、ラベルに書かれている原語に気づかなくなる恐れがありますので、原語も併記しておきます。
正確に覚える必要はありませんが、見ればなんとなくわかるくらいにはしておいてください。
白ワイン用品種
シャルドネ(Chardonnay)
白ワイン用ブドウの代表的品種ですね。
ワインを飲まない人でも、この名前は知っているだろうという品種です。
とても人気があり世界中で栽培されていますので、シャルドネから作られたワインを1本も扱っていない店は存在しないと言っていいでしょう。
香り・味の特徴は「特徴がないのが特徴」といわれます。
つまり、ニュートラルということです。
それが理由で、人気があるのでしょう。
これはまた、作り手の思うように作りやすいということでもあるので、ワインとしての味の幅はかなり広くなっています。
シャルドネだからこういう味だろうと思って選んだら、かなり違う味だったということはよくある話です。
ソーヴィニョン・ブラン(Sauvignon Blanc)
白ワイン用品種としてはシャルドネに次ぐ人気がある品種といえるのではないでしょうか。
それだけに、この品種も多くの産地で作られています。
作られるワインの印象は爽やかなものが多いです。
香りに特徴があり、冷涼な地域で作られたものはハーブなどの緑色の植物が感じられるのに対し、温暖な地域のものはパッションフルーツなどのトロピカル系の果物を思わせます。
このように栽培地域による香りの差が大きな品種かと思いますので、このあたりを意識してお買い求めになるのがよろしいのではないでしょうか。
リースリング(Riesling)
ドイツやフランス・アルザス地方の代表的な品種です。
白い花やリンゴのような、高貴さを感じさせる香りが特徴です。
気をつけなければいけないのが、リースリングから作られるワインには甘口のものも多いということです。
今や世界中で作られる白ワインのほとんどが辛口ではあるのですが、一部作られている甘口ワインの中ではリースリングを使ったものが多いという印象です。
また、その甘さもほのかに甘いというものから、食後にデザートとして飲むようなワインまで幅が広いです。
ですから、この品種のワインに関しては辛口なのか甘口なのかをしっかり確かめてからお買い求めください。
ゲヴェルツトラミネール(Gewürztraminer)
今回おすすめしている品種のなかでは、この品種が最も生産量が少ないのではないかと思います。
これより多く作られている品種はいくつもあるのですが、あえてこれをおすすめする理由というのは、この品種の香りがあまりにも特徴的だからです。
じつに華やかです。
よく出てくる表現は「バラ」や「ライチ」でしょうか。
この品種名の一部「ゲヴェルツ」というのはドイツ語で「香辛料」という意味なのですが、確かに言われればスパイシーな気がするなという程度で、それ以上にこの特徴ある華やかな香りが鼻腔をくすぐります。
ただ、この品種も甘めのワインがそれなりにありますので、リースリング同様甘さには注意してお買いになっていただきたいです。
赤ワイン用品種
カベルネ・ソーヴィニョン(Cabernet Sauvignon)
黒ブドウとしてもっとも有名なのがこの品種でしょう。
シャルドネ同様、この品種から作られたワインを1本も置いていない店というのはないであろうというくらいに人気があります。
濃厚なワインを作る時に使われることが多く、重くて渋いワインが好きという人から愛されている品種です。
カシスやブルーベリーを思わせる果実のニュアンスに、スパイシーな香りが乗っていていかにも赤ワインという風味がファンの多い理由でしょう。
ちなみに白ブドウで紹介したソーヴィニョン・ブランとは親子関係です。
ソーヴィニョン・ブランとカベルネ・フランという品種が自然交配して生まれたのが、このカベルネ・ソーヴィニヨンです。
白ブドウと黒ブドウが親子というところに違和感を感じますが、それぞれから作られたワインを飲み比べると面影を感じます。
ぜひいつか飲み比べてみてください。
メルロー(Merlot)
かつては、フランス・ボルドー地方でカベルネ・ソーヴィニョンと混ぜて使われることが多かった品種です。
いまでは単独で使われることも多く、世界の様々な生産地で栽培されています。
ただ、この理由はメルローが早熟で病気に強く、収穫量が多いということも関係しているようです。
プラムなどの果実味を感じますが、全体的にまろやかな印象で個性を主張しすぎないのが人気の理由だと思います。
しっかりした果実味がありながらも、あまりワイルドな感じが好みでない方にピッタリの品種です。
ピノ・ノワール(Pinot Noir)
フランス・ブルゴーニュ地方を原産とする品種です。
今回紹介している品種のほとんどがフルボディのワインとなることが多いのに対して、この品種から作られる品種は軽めのボディになります。
酸味はしっかりしていますが、あまり渋みはありません。
香りもラズベリーやチェリーのような赤くチャーミングな果実を思わせながらも、バラのような高貴さも感じさせ、この品種の虜になるひとはかなり多いです。
最も有名なワインだと思われる「ロマネコンティ」がこの品種から作られます。
シラー〈シラーズ〉(Syrah〈Shiraz〉)
フランス原産の品種でシラーと呼ばれていたのですが、今やシラーズと呼ばれてオーストラリアで作られているもののほうが目にすることが多いのではないでしょうか。
カベルネ・ソーヴィニョン同様、重くて渋いワインが好きという方からの支持が多い品種です。
特に、オーストラリアで作られるシラーズはパワフルなものが多く、黒い果実のニュアンスにコショウのようなスパイシーな香りが感じられ、とても野性的です。
ワイン同様の野性的な肉料理、コショウを大量にかけた牛肉のステーキが食べたくなります。
サンジョヴェーゼ(Sangiovese)
イタリアを代表する品種です。
現在ではイタリア各地で栽培されていますが、もともとはイタリア中央のトスカーナが原産で、有名な「キャンティ」というワインの主要品種となっています。
比較的濃厚なワインになることが多く、赤い果実のニュアンスとかすかなスパイシーさが特徴です。
やや酸味が強く、かつて「イタリアワインはすっぱい」と思っていた人が多かったのはこの品種のせいかもしれません。
テンプラニーリョ(Tempranillo)
スペインを代表する品種ですが、世界的にみると多くの地域で栽培されている品種ではありません。
おそらくこの品種から作られたワインを見かけるとしたら、ほぼスペイン産かと思います。
ただ、スペインでの人気が高く、かつスペインのワイン生産量が多いことから目にする機会は多くなると思います。
ふくよかな果実味がたっぷりと感じられますが、それに対しての渋みは控えめです。
飲みごたえがありながらも飲み疲れをしないものがよければ、この品種のワインはおすすめです。
品種 | ワインの色 | 特徴 |
シャルドネ | 白 | 一番人気の白ブドウ品種。品種自体がニュートラルな味わいなために、作り手により多彩な表情を見せる |
ソーヴィニヨン・ブラン | 白 | 爽やかな香りとフレッシュさが特徴の味わい。香りの表情の違いにより、生産地の気候を想像できる |
リースリング | 白 | ドイツを代表する品種。華やかな香りとしっかりとした酸味を持ち、甘口から辛口までの幅が広い |
ゲヴェルツトラミネール | 白 | 近年人気上昇中のアロマティックな品種。バラやライチのエキゾチックな香り。甘口もあることに注意 |
カベルネ・ソーヴィニョン | 赤 | もっとも有名な黒ブドウ品種。重厚さを持ちながらも上品な味わで、濃くて渋いワインが好きな方から人気がある |
メルロー | 赤 | 多くの人に好まれる味わいの品種。豊かな果実味がありながらもなめらかで、渋さは控えめ |
ピノ・ノワール | 赤 | 最も高価なワインを生み出す品種。チャーミングでありながらも高貴な香りで熱烈なファンを持つ |
シラー(シラーズ) | 赤 | 産地によって違いの出る品種。オーストラリア産のシラーズは、野性的でパワフルかつスパイシーな味わい |
サンジェヴェーゼ | 赤 | イタリアを代表する品種。赤い果実身とかすかなスパイシーさを持ち、比較的濃厚なものが多い |
テンプラニーリョ | 赤 | スペインを代表する品種。ふくよかな果実味ながら渋さ控えめで、飲みごたえがあるが飲み疲れしない |
初心者にもわかりやすい、産地によるワインの味の違い
どこどこ産のワインはこんな味という言い方がよくなされます。
こういったことは、覚えたほうがいいのでしょうか。
答えとしては「初心者のうちは覚えなくても大丈夫」です。
では、産地の違いは味に影響しないのかといいますとそんなこともありません。
となると無視したままというわけにはいきませんよね。
では、どうしたらいいのでしょう?
ということで、この謎めいた産地問題について考えてみましょう。
味は産地によって変わるもの?
まずお伝えしておきたいのは、ワインに関して長い歴史と文化を誇るヨーロッパにはその土地土地に受け継がれた味があるということです。
先ほど品種の違いが味の違いとお伝えしましたが、フランスなどでは生産地の違いこそが味の違いという考えでした。
ですから、フランスの銘醸地と呼ばれる地域ではいまだにラベルに品種が書かれていることは稀です。
これは、生産地ごとに使うことが許されている品種が決まっているので、結局は品種の違いが味の違いになってはいるのですが、それでも土地こそがワインの味を決めているという考えが強く残っています。
それを考えると、これらの産地を覚えたほうがいいともいえるのですが、今回のテーマである初心者のための選び方から外れてしまいます。
したがって、一つ一つの産地の特徴を覚えなくてもいいという選び方をお伝えします。
これらヨーロッパの生産地に対して、アメリカやチリ、オーストラリアといった比較的新しい生産地では品種と気候条件、生産者の思想がワインの味となっているように思います。
この場合もこれからお伝えする考え方をしていただくとおおよその味がわかると思います。
ざっくりと緯度で決めればいい
産地の違いとは書きましたが、結局のところそれは気候によるところが大きいです。
そして、気候に大きく影響を与えるのが緯度になります。
これは簡単に言ってしまえば、赤道に近いほど温かく(暑く)遠ざかるほど涼しい(寒い)ということです。
北半球では北緯30度~50度がブドウ栽培に適しているとされていますが、この中のどこにあるかでできるブドウの個性は大きく変わっています。
温かいところでは日射量が多いので光合成が活発となり、ブドウ生育もすすみ、果実は糖分・エキス分が多くなります。
涼しいところでは逆となり、酸味を多く残した繊細なものになります。
ただし、これは一概にどちらがいいというものではなく、それぞれの環境で、与えられた条件下で作ったものは、そういう個性を持ったワインになるということです。
赤道に近い生産地のものはふくよかになり、両極に近づくほど繊細な味わいになる傾向があるというだけです。
ですから、各生産地ごとの特徴を覚えなくても、その生産地の緯度を見てこういう特徴がありそうだと判断することができます。
ただし、気候というのは緯度だけで決まるものではありません。
その土地の高度や近くを流れる海流、周りの環境など様々な条件も影響します。
この緯度の生産地のワインであればこういう味だろうと思って買ったワインが、想像と違ったということはあり得ます。
その場合にはその土地の他の環境を調べてみてください。
基本ルールはこうだけどこの生産地はこういう条件から例外となっている、というのがわかると記憶に残り、次のワイン選びの参考になります。
これだけではわかりづらいと思いますので、参考までに主要生産国のワインの特徴を表にしておきます。
ただし、同じ国内でも気候には大きな違いがありますので、あくまでも平均的な傾向という程度に考えてください。
生産国 | ワインの特徴 |
フランス | 生産地域が国内の広い地域に分布しており、南北差が大きいため国全体としての傾向を語るのは難しい。北のアルザス地方ではドイツに近いため似た酒質となり、南のラングドック=ルションはスペインに近くボリューム感のあるワインとなる。他、上品ながらしっかりしたワインの産地ボルドー地方、ピノ・ノワールやシャルドネを単一使用し高貴なワインを作るブルゴーニュ地方、スパークリングワインの最高峰であるシャンパンに特化したシャンパーニュ地方、など各地方が一国に相当するほどのレパートリーを持つ |
イタリア | 「エノトリアテルス」(ワインの大地)と呼ばれるほどワイン生産に適した国。国内にある20州すべてで生産が行なわれており、国別生産量ではフランスと1位を争う。北の冷涼な一部の地域ではシャープな味わいのワインを作るが、国全体の特徴で見たときは、温暖な気候のため果実味のしっかりしたワインを多く作っている。フランスほどではないが、地方独特の個性を持ったワインがある |
ドイツ | 緯度が高いため日照量が少なく、気温も低め。そのため、ブドウの生育が緩やかなので果実内に多くの酸が残る。その酸味とのバランスをとるため甘さを残したワインも多い。ただし、辛口ワインのほうが多く生産されている。辛口では切れのある酸味と繊細な味わいが特徴 |
スペイン | ヨーロッパでは南に位置するため、国土が広くて生産地も南北に広がっているが全体的に温暖。そのためワインの生産量も多く、国別でみると世界第3位。太陽がたくさん降り注ぐためブドウはしっかりと成熟し、ワインもボリューム感があるものが多い。特に乾燥した土地で作られたワインは、スパイスのような風味をもったものになる。そのため、ワインの印象は上品、繊細というよりもパワフルという感じになる |
アメリカ | 約90%がカリフォルニアで生産される。日照時間が長いのでブドウの生育には適している。ただし、海から冷気が流れ込むので、ヨーロッパで同じくらいの緯度にあるスペインなどと比べると冷涼になり、メリハリの利いた風味となる。どちらかというと万人受けを目指す傾向にあり、果実味豊かでフルーティーなワインが多い |
チリ | 生産地域は、南北に長い国土の中央部に集中しており、ブドウ栽培に適した緯度の南限と北限の中間あたりとなる。冷たい海流から流れ込む冷気とアンデス山脈から吹きおろす寒気の影響で比較的冷涼だが、降水量が少ないため日照量が多い。雨による被害も少ないためブドウ栽培に適している。新技術の導入が進んでいるため、生産されるワインも安定している。個性が抑えられており、価格に対する味の想像もしやすい。良くも悪くも教科書的なワインと言え、初心者がワインの勉強をするために購入するのに適している |
アルゼンチン | 世界第5位のワイン生産量を誇っていながら輸出が盛んではなかったため、日本ではまだマイナーな存在。日照量の多さと乾燥した気候はブドウ栽培に適しており、生産地は南北に広く分布する。ワインを作るうえでの条件はチリに似ており、生産地の個性は少なく作られるワインは均一化されている。新技術の導入で質の向上も図られており、チリ産のものに匹敵するコストパフォーマンスを誇る |
オーストラリア | 国土自体が比較的赤道近くに位置し、気候は熱帯から温帯となる。そのため国土の南側(南極に近いほう)に栽培地域が集中している。ヴィクトリア州、タスマニア州という冷涼な気候のところもあるが、全体的に温暖な気候。乾燥した土地も多く、果実の成熟が進みやすい環境。一般的なイメージはパワフルかつワイルド。果実味豊かでアルコール度数も高くなる傾向にある。オーストラリアを代表する品種シラーズで作られた赤ワインは、黒コショウのようなスパイシーさが特徴 |
定番の選び方、価格で決める
やはり、お買い物は価格を無視するわけにはまいりません。
とはいえ、価格だけで買うものを決めるのも味気ないですよね。
このあたりをどうすればいいのか考えてみましょう。
結局は予算をどう使うかの問題です
最終的に候補として残ったものの中でどれを買うかというのが最後の問題でしょう。
出せる金額の中で一番高価なものを買うというのが正解のような気がします。
しかし、少し待ってください。
初心者のうちは、ワインの価格違いに対する味の違いはわかりにくいと思います。
価格が2倍だからといっておいしさが2倍になるということはありません。
もちろん、飲めば高いワインのほうがおいしいと思うのでしょうが、そこに金銭を消費する価値があるかというと疑問です。
たとえば、1か月に使える金額が決まっているのなら、その範囲で価値のある使い方をしたほうがいいでしょう。
となると、その2倍の価格のワインを1本買うよりその金額で2本買うほうがいいときもあります。
やはり、ワインのことを深く知ろうと思うとそれだけ多くの種類を飲まなければわからないことが多いのです。
もちろん、絶対にこれが飲みたいというのであればいいのですが、数をとるというのも選択肢の一つです。
はじめのうちは、味覚の幅を広げるつもりでワインを選ぶという考えもアリだと思います。
ただし、あまりにも価格の低いものはおすすめしません。
もちろん飲んではいけないわけではないのですが、ワインの個性が感じられないと思いますので、ワインを楽しもうというときには選択肢から外してください。
先ほどご紹介した品種の特徴も、低価格のものからはあまり感じられません。
高いと濃くて安いと薄い?
先ほど、あまり高価なワインを買う必要はないということをお伝えしましたが、高いワインと安いワインの違いは何なのでしょうか。
もちろん様々な条件があります。
それらをいくつも並びたてるわけにはいきませんので、いくつかに絞ってお伝えします。
まずは畑の面積あたりの生産量の違いです。
つまり同じ広さの畑があるとして、そこから作られるワインの量が少ないほうが高くなるということです。
もちろん、たまたまそうなった場合ではなく意図的にそうしているということです。
例えば、ブドウが生育する前に房を摘み取って1本の木に何房しか作らないという具合にします。
こうすると、木の吸い上げた養分を少ない房で分けることになりますので、1房の生育が良くなります。
それだけ、糖分その他の成分が濃縮された果実になるということです。
その結果、ワインが濃縮されたものになります。
ただし、作れるワインの本数は少なくなるので1本あたりの価格を上げないと収支が悪くなります。
今の話とも関係しますが、人件費もワインの価格を高くする要因です。
手作業が多い栽培方法は人件費がかかってしまいます。
では、機械化をして人件費を下げた場合どうなるのかといいますと、その分品質は下がってしまいます。
例えば収穫を考えますと、機械化すると果実の成熟度にかかわらずすべての果実が刈り取られてしまうのです。
そうなると、おいしいワインを作るにはもう少し待ったほうがいいものもワインにすることになります。
結局ワインの質を質を上げるためには、人手をかけなければならなくなり、人件費が上がり価格に反映しなければならなくなります。
ワイン選びで気をつけたいこと
ここまで、ワインの選び方の基本をお伝えしてきましたが、最後についつい見落としてしまいがちなところをお話しておきます。
ワインをこんなお店で買っちゃダメ
ワインを買うことに慣れていない初心者の方に起こりがちなことなのですが、ワインの状態が悪いお店で買ってしまうことです。
ワインというのはお酒の中でも繊細で環境により傷みやすいお酒です。
ですから、保管状態のよくないお店で買うのはやめてください。
例えば、直射日光がワインに当たっていて店内も暑いというのは最悪です。
この光と高温というのは、ワインにとっての二大巨悪です。
ワインはこういうところに置きましょうという情報を見聞きされたことがあると思いますが、いくつかある中でも悪影響が大きいのがこれらです。
もしワインを買おうと入ったお店がこんなところでしたら、そこでは絶対に買わないでください。
甘さがわかるものはしっかり確認
品種の紹介のところでも書きましたが、ワインの甘さに関してしっかり確認してから買ってください。
辛口だと思って買ったものが甘かったとか、甘口だと思って買ったものがからかったとかいうのは中々つらいものです。
多少のズレであれば飲み続けることができるかもしれませんが、あまりにもかけ離れている場合には飲みきれないこともあります。
今は辛口志向が強いので、赤でも白でも売られているワインのほとんどは辛口です。
しかし、当然甘口のものを飲みたい方もいらっしゃるので大抵のお店に甘口のワインも少量置いています。
その場合はほとんどが白ワインなのですが、ごくまれに赤ワインで甘いものもありますので、赤ワインを買う際も一応意識しておいてください。
くれぐれもワインはすべて辛口だと思いこまないように気をつけてください。
ものにはよりますが、裏ラベルに甘さ表示をしているものがあります。
この場合はしっかり確認しておきましょう。
もしラベルに記載がないようでしたら、お店の人に確認してください。
特に、先ほどのリースリングとゲヴェルツトラミネールは他の品種と比べると甘口率が高いので忘れないよう気をつけてください。
今は辛口のものを探している場合のお話だったのですが、もしあなたが甘いワインが飲みたいのであれば最初からお店の人に聞くのがおすすめです。
というのも、先ほどお伝えしたように今売られているワインのほとんどは辛口です。
それこそ、100本売られている中の1本とかだったりします。
その中から甘口のものを探すのはとても大変です。
残念ながらその場合は、探す楽しみはなく苦痛ばかりかと思いますので、早めに尋ねてしまいましょう。
まとめ
今回はワイン初心者の方にワインの選び方をお伝えしました。
冒頭で「今日の1本を選ぶことに集中して」とお話していたのですが、気づくと今後のワイン人生も考えてという視点での意見も入ってしまっていました。
そもそも今回お伝えした選び方というのは、初心者だからこうしたほうがいいというものではありません。
おそらく、多くのワイン好きの方が普段されている選び方だと思います。
もちろん、他の選び方でもいいのですが、まずは一緒に楽しむ料理に合わせて色を決める。
その中で味の中心となる品種を決める。
そして、その品種から作られたワインの中で生産地を確かめて、生産地の緯度から味を想像する。
それと予算とを照らし合わせて1本に決める。
ワインの選び方の基本となるのがこの流れだと思います。
この流れだけにこだわることはないのですが、これをルーティンとして繰り返すことでワイン選びの精度は上がっていくと思います。
この選び方で多くの経験をして、満足いくワイン選びをできるようになっていただけるとうれしいです。
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